こんにちは、アスリートの知恵袋のバラです。
握力を鍛えようとすると、真っ先にハンドグリップを思い浮かべる人が多いと思います。もちろん定番の器具ですし、握り込む力を鍛えるには使いやすい方法です。ただ、競技の現場で握力を見ると、それだけでは少し足りません。
たとえば柔道では、相手の道着をつかんだまま離さない力が必要です。一方、ハンドボールではボールをずっと握り潰すのではなく、投げる瞬間まで指先でボールを扱い、最後に力を伝えます。同じ「握力」でも必要な力の出し方はかなり違うんですよ。
私が選手へ握力筋トレを組むときは、握る、つまむ、保持する、指を開く、手首を曲げ伸ばすという動作を分けて考えます。そのうえで競技に近い動きを優先し、必要ならハンドグリップやダンベルを加える流れです。
握力は毎日限界まで握り続ければ伸びる、という単純な部位ではありません。前腕が疲れ切れば、懸垂やデッドリフト、ロウ系種目、さらに競技練習で道具を扱う感覚にも影響することがあります。この記事では、器具なしの方法からハンドグリップ、手首の筋トレまで、実践しやすい形で比較していきます。
この記事でわかること
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握力筋トレで鍛えたい力の種類
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器具なしとハンドグリップの違い
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手首と前腕を鍛える具体的な方法
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競技に合わせた回数と頻度の決め方
コンテンツ
握力筋トレは目的から選ぶ
最初に押さえておきたいのは、握力を一つの数字だけで考えないことです。握力計の数値は分かりやすい指標ですが、競技で求められるのは「何を、どんな形で、どれくらいの時間扱うか」という動作そのもの。筋トレ握力を考えるなら、まず必要な力を切り分けましょう。
握力は一種類ではない
握力筋トレでは、大きく分けて握り込む力、つまむ力、保持する力を考えると分かりやすくなります。ハンドグリップを閉じる動作は握り込む力。プレートや厚みのある物を指で挟む動作はつまむ力。ダンベルやバーを落とさず持ち続ける動作は保持する力です。
この違いが分かると、「ハンドグリップをやっているのに競技で手が先に疲れる」というズレも見つけやすくなります。柔道で道着をつかみ続けたいなら、閉じる一発の力だけでなく保持時間が必要です。クライミングなら指の形やつまみ方の違いも出ますし、ウェイトトレーニングなら高重量を落とさない保持力が重要になるでしょう。
握力筋トレのスタート地点
「握力を何kgにしたいか」だけでなく、「競技のどの場面で手が負けるのか」を先に考えてください。器具選びはそのあとです。
手首と指も一緒に考える
握る動作では、指だけが単独で働いているわけではありません。前腕の手のひら側には指や手首を曲げる筋群があり、手の甲側には手首や指を伸ばす筋群があります。さらに前腕を内外へ回す動作も、ラケット、バット、ボールなどを扱う競技では大切です。
そのため、筋トレ手首を考えるときはリストカールだけ、指筋トレを考えるときはグーパーだけ、と完全に分けてしまうより、握る動作と開く動作、曲げる動作と反らす動作を偏らせないほうが実践的です。
とくにハンドグリップは閉じる動作に偏りやすい器具です。便利だからこそ、それだけで手首まわりを全部鍛えたつもりにならないこと。ここは覚えておいてください。
握力と手首の器具を比較
握力や手首を鍛える器具はたくさんありますが、高価な物をそろえる必要はありません。何を伸ばしたいかによって、ハンドグリップが合う人もいれば、ダンベルやタオルのほうが競技に近い人もいます。購入前に、それぞれの役割を比較してみましょう。
| 方法 | 主な狙い | 向いている人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ハンドグリップ | 握り込む力 | 手軽に握力筋トレをしたい人 | 閉じる動作に偏りやすい |
| ダンベル | 手首の曲げ伸ばし、回旋、保持 | 前腕も幅広く鍛えたい人 | 重すぎると手首がぶれやすい |
| タオル | 握る、絞る、保持 | 器具なしで始めたい人 | 負荷を数値化しにくい |
| ゴムバンド | 指を開く力 | 握る動作に偏りやすい人 | 軽い負荷から始める |
| バー保持 | 保持する力 | 柔道や筋トレで保持力が欲しい人 | 肩や肘の状態も確認する |
ハンドグリップ
筋トレハンドグリップの最大の長所は、握り込む動作へ手軽に負荷をかけられることです。場所を取らず、自宅でも使いやすく、負荷調整式なら段階的に難しくできます。握る力そのものを高めたい人には、かなり分かりやすい器具ですよ。
一方で、ハンドグリップ筋トレだけでは手首を大きく曲げ伸ばしする動作や、前腕を回す動作、指を開く動作は少なくなります。なので私は、ハンドグリップを「握力トレーニング全部」ではなく、握り込む力を狙う一種目として扱います。
負荷は、閉じるたびに手首が折れたり、肩まで力んだりしないものから始めてください。最初から最も硬いグリップへ挑戦するより、同じフォームで反復できる負荷を選び、少しずつ難しくするほうが扱いやすいです。

ダンベルとバーベル
手首の筋トレまで広げたいなら、ダンベルやバーベルは使いやすい器具です。リストカールで手首を曲げる、リバースリストカールで反らす、ダンベルの端を持って前腕を回す、重りを持ったまま静止するなど、一つの器具で複数の動作を作れます。
ただし、手首まわりはスクワットやデッドリフトほど大きな重量を扱う必要はありません。重さを上げた結果、肘が動く、肩がすくむ、反動で手首を振るようになれば、狙っている動作から外れます。軽めでも前腕の動きを自分で止められる重量を選ぶことを優先してください。
タオルと身近な物
前腕筋トレ器具なしで始めたいなら、タオルはかなり便利です。乾いたタオルを両手で強く絞る、片手で丸めて握る、丈夫な場所に掛けて握ったまま引くなど、握る・ひねる・保持する動作を作れます。
タオルの良いところは、直径や握り方を変えやすい点です。細くまとめれば握り込みやすく、太く束ねれば指が閉じきらない状態で保持する必要があります。柔道のように布を扱う競技では、ハンドグリップより動作が近くなる場面もあるでしょう。
器具なし全身トレーニングと組み合わせたい場合は、自重トレーニング1週間メニューも参考にしてください。前腕だけを単独で増やすより、全身トレーニングの中で補助種目として入れるほうが管理しやすいです。
指を開くバンド
指筋トレというと握る動作ばかりになりがちですが、指を開く動作も入れておきたいところです。輪ゴムや専用のゴムバンドを指に掛け、抵抗に逆らって指を広げます。小さな動きなので、速く反復するより、最後まで開いてゆっくり戻すほうが動作を確認しやすいですよ。
これはハンドグリップと反対方向の動きを補う目的で使います。握力を直接何kg上げる種目と考える必要はありません。閉じる動作ばかり続く人が、指を開く動作も忘れないための補助種目として考えると使いやすいでしょう。
ぶら下がりと保持種目
バーへのぶら下がり、ダンベルホールド、ファーマーズキャリーなどは、物をつかんだまま離さない保持力を鍛えやすい方法です。懸垂で先に手が疲れる、デッドリフトで背中や脚より先にバーが抜ける、といった人にも関連します。
ただし、保持時間を延ばすほど良いわけではありません。肩がすくむ、手のひらが痛くて握り方が崩れる、肘や手首に違和感が出るならそこで終了します。競技者なら「何秒耐えたか」だけでなく、翌日の練習でいつもの握りや投球感覚が保てているかも確認してください。
握力器具を選ぶ基準
購入直前で迷っているなら、値段や最大負荷だけを見るより、どの動作を鍛えたいかと、負荷を段階的に変えられるかを確認してください。握力器具は「一番硬い物を買えば長く使える」とは限りません。硬すぎて正しい位置まで閉じられなければ、トレーニングとして扱いにくくなります。
負荷調整できるかを見る
初心者がハンドグリップを選ぶなら、可変式や複数負荷から選べるタイプは使いやすいです。最初は余力を残して反復できる負荷にし、同じフォームで回数を増やせるようになったら少しずつ重くします。握れないほど硬い器具を片手で無理に閉じようとすると、手首を曲げたり肩をすくめたりしやすくなります。
反対に、軽すぎる器具を何百回も握るだけでは、時間のわりに負荷を高めにくくなります。今の自分が10回前後から20回程度の範囲で、動作を崩さず扱えるかを一つの目安にすると選びやすいでしょう。回数は絶対条件ではなく、フォームを保てることを優先してください。
握り幅と持ちやすさを見る
同じ負荷表示でも、グリップの太さや開き幅が違うと体感は変わります。手が小さい人に開き幅の大きい器具が合うとは限りませんし、滑りやすい持ち手では狙った握り方を再現しにくくなります。
競技で太い物を保持する力が必要なら、太めのグリップを使う意味があります。一方、握力計のような握り込みを伸ばしたいなら、指が適切に回り込み、閉じる動作を繰り返しやすい形が扱いやすいです。商品名より、自分の手と目的に合うかを確認しましょう。
一台で全部を狙わない
ハンドグリップ、リストトレーナー、パワーボールなど、前腕用の器具にはそれぞれ特徴があります。ただ、一台ですべての握力と手首動作を網羅しようとすると選びにくくなります。
握り込む力が目的ならハンドグリップ、手首の曲げ伸ばしまで行いたいならダンベル、保持力ならバーや重り、指を開くならバンド。役割を分けたほうが器具選びは簡単です。すでにダンベルを持っている人なら、新しい器具を買わずに手首と保持のトレーニングを始められる場合もあります。
購入前に確認したいこと
目的、負荷調整、握り幅、滑りにくさ、収納性の5点を確認してください。最大負荷の数字だけで選ばないことが大切です。
器具なしで握力を鍛える
握力筋トレは器具を買わなくても始められます。最初の段階では、手を強く握ることより、指と手首を大きく動かしながら前腕の感覚をつかむだけでも十分です。負荷が足りなくなったら、そこで器具を追加すればいいんです。
グーパー運動
もっとも簡単なのが、手を握って開くグーパー運動です。ポイントは、ただ回数をこなすのではなく、握るときは指先までしっかり曲げ、開くときは指の間まで広げること。握る動作と開く動作を一緒に行えるので、ウォームアップにも使えます。
軽い運動なので、高い握力を作る主役種目にするには負荷が足りなくなることがあります。その場合は100回、200回と延々増やすより、ハンドグリップやタオル、保持種目へ移行したほうが時間を使いやすいでしょう。
タオル絞り
タオル絞りは、握り込みながら前腕をひねる動作を組み合わせられます。両手でタオルを持ち、左右を反対方向へ回すように絞って数秒止め、ゆっくり力を抜きます。左右の方向を入れ替えると、同じ向きばかりに偏りにくくなります。
水に濡らす必要はありません。乾いたタオルでも十分ですし、床が滑る環境で水を使うと別の危険が増えます。手首を無理に最大角度までねじるのではなく、前腕が働いている範囲で止めましょう。
指開き
器具を使わずに指を開くなら、反対側の手で軽く抵抗を加える方法があります。片手の指を閉じた状態から開こうとし、もう片方の手で少し押さえます。大きな力は必要ありません。指を開く筋肉を意識しながら、左右とも同じように行ってください。
この種目は追い込むというより、握る種目の合間や最後に入れる補助運動です。前腕が張り過ぎている日や、指を開くと痛みがある場合は行わず、その日の負荷自体を見直しましょう。
自重で手首を使う時の注意
腕立て伏せやプランクも手首に荷重がかかるため、手首まわりへ刺激は入ります。ただし、これは手首を鍛えるために痛みを我慢する種目ではありません。手のひらを床についた時点で痛むなら、拳をつく、ハンドルを使う、前腕支持へ変更するなど、手首の角度を変える方法を考えます。
痛みを負荷の目安にしない
筋肉の疲労感と関節の痛みは別です。手首の一点に鋭い痛みが出る、腫れる、しびれる、力が抜ける場合はトレーニングを続けないでください。
手首の筋トレを実践
筋トレ手首では、曲げる・反らす・回す・保持するの4方向を考えると組みやすくなります。すべてを一日に行う必要はありません。ハンドグリップと手首種目を合わせ、週の中で偏りを減らしていきましょう。
リストカール
リストカールは、前腕を台や太ももへ置き、手のひらを上へ向けてダンベルやバーベルを持ち、手首を曲げる種目です。肘ではなく手首を動かし、下ろす局面も重さに任せずコントロールします。
手首を太くする筋トレとして紹介されることも多いですが、実際に発達する中心は手首関節そのものより前腕側です。見た目を変えたい人も、握力を高めたい人も、手首の曲げ伸ばしを大きく使いながら前腕へ負荷をかける種目として考えると分かりやすいでしょう。
リバースリストカール
リバースリストカールは手の甲を上に向け、手首を反らす方向へ動かします。握る種目では手のひら側の筋群ばかり使いやすいため、反対側の動きを入れる目的で組み合わせやすい種目です。
この種目は小さな筋群で動かすため、リストカールと同じ重量を使う必要はありません。重すぎると手首の動きが消え、肘や肩で持ち上げる形になりやすいです。軽めから始め、最後まで同じ可動域を保ちましょう。
回内と回外
手のひらを下へ向ける回内、上へ向ける回外は、ボールやラケット、バットなどを扱う競技でよく現れます。ダンベルの端を持ち、肘を約90度にして身体の横や台へ固定し、前腕だけをゆっくり回すと負荷を作れます。
ダンベルを端で持つと、軽い重量でもテコが働くので意外と負荷が大きくなります。最初から重いダンベルを使う必要はありません。スポーツ動作をそのまま重くすれば良いわけでもないので、あくまで補助的に前腕の回旋を鍛える種目として使ってください。
ピンチと保持
つまむ力を鍛えるなら、軽いプレートや厚みのある物を指で挟んで保持します。落下すると足を痛めるため、最初は低い位置で行い、床を保護できる環境を選びましょう。ダンベルのヘッド部分をつまめる形なら、それを使う方法もあります。
保持力なら、ダンベルを両手に持って立ったまま数秒から数十秒保つ方法が分かりやすいです。時間はあくまで目安で、握りが崩れる前に終えます。姿勢まで崩れてくるなら、握力だけでなく全身の疲労が大きくなっているサインです。
◆バラのワンポイントアドバイス
前腕種目は地味なので、つい最後にまとめて大量に入れたくなります。でも、翌日に柔道で組み手をする、ハンドボールでシュート練習をするなら、そこで手を使います。私は「前腕を疲れさせ切る」より、「競技でも使える余力を残す」ことを優先します。
競技別の握力トレーニング
ここが私が一番大切にしている部分です。すべての選手へ同じ握力メニューを配るのではなく、競技でどのように手を使うかを確認します。握力計の数字が同じでも、必要な能力は同じとは限りません。
柔道は保持力を優先
柔道では道着をつかみ、相手が動いても握りを保つ場面が続きます。そこでハンドグリップだけで一瞬の握り込みを鍛えるより、タオルを太くして保持する、丈夫なタオルを使った懸垂やローイングで握り続けるなど、布をつかんだ状態を維持する力へ近づける方法が使いやすくなります。
もちろん試合中は腕だけで相手をつかむわけではありません。姿勢、足さばき、引き手・釣り手の使い方があってこその握りです。なので握力トレーニングは技術練習の代わりではなく、組み手で手が先に負ける選手への補助と考えます。
ハンドボールは瞬発力
ハンドボールでは、ボールを保持する力も必要ですが、投球では指先まで力を伝え、リリースではボールを離さなければなりません。ずっと最大握力を出すより、必要な瞬間に握って、その後すぐ力を抜く能力が大切です。
そのため、ハンドグリップを毎日限界まで握り込んで前腕を張らせるより、ボールハンドリングや投球練習を優先しつつ、補助として短いハンドグリップ、指開き、手首の曲げ伸ばしを入れるほうが扱いやすいでしょう。競技練習の質を落とさないことが最優先です。
ラケット競技は手首も見る
テニス、バドミントンなどでは、ラケットを握るだけでなく、前腕の回旋や手首の位置を変えながら道具を操作します。握力だけを高くしても、ラケットを必要以上に強く握り続ければ動きが硬くなることがあります。
こうした競技では、握る力に加えて回内・回外、手首の曲げ伸ばし、指をゆるめる感覚も確認したいところです。実際のグリップの太さや持ち方も影響するため、筋力だけでなく技術面の指導も合わせて考えてください。
筋トレは補助として使う
握力を鍛える目的が、デッドリフトや懸垂でバーを落とさないことなら、保持種目はかなり具体的です。一方、背中を鍛えたい日に握力が先に限界へ来る場合は、パワーグリップやストラップを使って背中のトレーニング量を確保する判断もあります。
「補助具を使ったら握力が弱くなるから絶対に使わない」と考える必要はありません。背中を鍛える日と握力を鍛える日では目的が違います。握力は別で鍛えつつ、主目的の筋群を先に疲れさせないように使い分けるといいでしょう。
回数と頻度の決め方
握力や前腕は日常でも使う部位なので、「毎日やったほうが早く伸びる」と考えやすいです。しかし競技練習や他の筋トレでも使っているため、実際の負荷は握力トレーニングのセット数だけでは決まりません。週全体で見ていきます。
毎日限界までやらない
ハンドグリップをテレビを見ながら何百回も握る方法は手軽ですが、疲労管理が曖昧になります。握力を鍛えること自体が悪いのではなく、同じ動作を毎日限界まで繰り返す必要がないということです。
翌日に握りが弱い、前腕がパンパンで競技動作が重い、肘や手首に違和感が出るなら、回数を増やす段階ではありません。休養日の考え方は、筋トレは毎日逆効果かを解説した記事も参考にしてください。
ACSMの2026年の公式見解でも、レジスタンストレーニングは目的や個人に合わせて設定し、毎回の限界到達を必須条件としていません。握力筋トレも同じで、継続できる負荷から段階的に増やす考え方が使いやすいです。(出典:American College of Sports Medicine「Resistance Training Prescription」)
余力を残して終える
最初の目安としては、予定回数を終えた時点で「同じフォームならあと2〜3回くらいできそう」と感じる負荷が使いやすいです。ハンドグリップなら最後の数回で少し苦しくなるものの、手首を曲げたり身体をひねったりしなくても閉じられる強さから始めます。
この余力を数字で見る方法がRPEやRIRです。筋トレ全体の負荷設定も含めて確認したい人は、筋トレのRM・RPEの使い方を参考にしてください。握力だけ別ルールにせず、他のトレーニングと同じように「今日の状態」を見て負荷を調整できます。
前腕疲労を先に残さない
前腕トレーニングを行う順番も大切です。デッドリフト、懸垂、ロウなどを行う日に、最初からハンドグリップを追い込むと、背中や脚より前に手が疲れてしまいます。主目的の種目を邪魔する可能性があるため、握力種目は基本的に後半へ置くほうが使いやすいでしょう。
競技者ならさらに、筋トレの翌日に何があるかまで確認します。組み手練習、投球練習、クライミングなど前腕を多く使う日が続くなら、握力トレーニングを減らす判断も必要です。セットを増やすことより、次の練習でも質を保てることを優先してください。
◆バラのワンポイントアドバイス
握力は「小さい部位だから毎日できる」と考えられがちですが、手は競技でも日常でも休まず使います。私は週のメニューを見るとき、握力種目だけでなく、懸垂、デッドリフト、道具を握る競技練習まで前腕の負荷として見ています。
手首を太くしたい場合
「手首を太くする筋トレ」を探している人も多いですが、ここは言葉を分けて考えたほうが分かりやすいです。手首関節のすぐ周囲は骨や腱の割合が大きく、筋肉のボリュームが目立つのは肘に近い前腕側です。そのため、見た目を太くしたいなら前腕全体を鍛える考え方になります。
手首そのものは太くしにくい
骨格そのものを筋トレで大きく変えることはできません。リストカールやハンドグリップを行えば前腕の筋肉は刺激されますが、手首関節の位置が急に何cmも太くなるわけではないんです。
なので「手首が細いからハンドグリップだけを大量に行う」というより、リストカール、リバースリストカール、ハンマーカール、保持種目などを使って前腕全体へ負荷を分散させるほうが目的に合います。
前腕を太くするなら動かす
前腕の筋量を増やしたい場合、ハンドグリップのような握る種目だけでなく、手首を曲げ伸ばしする種目も入れてください。握ったまま固定する動作と、筋肉を伸ばして縮める動作では刺激の入り方が違います。
筋肥大を狙うなら、回数だけを増やすのではなく、フォームを保てる負荷でセットを重ね、慣れてきたら少しずつ重量や回数を増やします。前腕だけを急に大量セットへする必要はありません。ほかの引く種目でも前腕は使うので、週間の合計量を見ながら調整しましょう。
痛みを防ぐ注意点
握力や手首のトレーニングは手軽ですが、痛みを我慢して続ける種目ではありません。小さな関節へ繰り返し負荷がかかるため、重量よりも動作の再現性を優先してください。
痛みやしびれは中止
前腕が熱くなるような疲労感と、手首の一点に刺さるような痛みは同じではありません。握ると痛い、手をつくと痛い、腫れている、指にしびれが出る、力が抜けるといった症状がある場合は、トレーニングを続行しないでください。
とくに転倒して手をついたあとに痛みが続く場合、単なる捻挫だと思い込まないことが大切です。日本整形外科学会でも、スポーツ外傷は適切な診断と対応が必要な運動器の外傷として扱われています。(出典:日本整形外科学会「スポーツ外傷の応急処置」)
ケガをしたら専門家へ
手首を痛めた直後に「軽いから握力トレーニングで治そう」と負荷を加えるのは避けてください。受傷状況や痛む場所によって対応は変わります。競技へ戻る時期も、痛みが減ったという理由だけで一律には決められません。
この記事で紹介した回数、セット数、負荷は一般的な目安です。年齢、既往歴、競技、トレーニング経験によって適切な内容は変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。痛みや外傷がある場合を含め、最終的な判断は医師や理学療法士などの専門家にご相談ください。
握力が上がることと、手首の痛みが治ることは別です。痛みがある状態では「鍛えて安定させる」より、まず原因を確認してください。
よくある質問
最後に、握力筋トレ、筋トレハンドグリップ、手首のトレーニングでよく出る疑問をまとめます。
握力と手首のよくある質問(FAQ)
Q1. ハンドグリップだけで握力は鍛えられますか?
A. 握り込む力を鍛えるには使いやすい器具です。ただ、保持する力、つまむ力、指を開く動作、手首の曲げ伸ばしまでは十分に含まれません。競技で必要な握り方に合わせ、保持種目や手首種目を組み合わせてください。
Q2. 握力の筋トレは毎日やってもいいですか?
A. 軽いグーパー運動やフォーム確認を毎日行える人はいますが、同じ握る動作を毎日限界まで行う必要はありません。前腕の張り、握力低下、手首や肘の違和感、翌日の競技練習への影響を見て休養を入れてください。
Q3. 器具なしで前腕を鍛える方法はありますか?
A. グーパー運動、タオル絞り、反対の手で抵抗を加える指開きなどから始められます。負荷が足りなくなったら回数を延々と増やすより、タオルを太くする、保持時間を調整する、ハンドグリップやダンベルを追加する方法が使いやすいです。
Q4. 手首を太くするには何をすればいいですか?
A. 手首関節そのものより、前腕の筋肉を発達させる考え方になります。リストカール、リバースリストカール、ハンマーカール、保持種目などを組み合わせ、少しずつ負荷を上げてください。ハンドグリップだけに偏る必要はありません。
Q5. 握力はスポーツ選手ほど強いほうがいいですか?
A. 高ければ必ず競技力が上がるわけではありません。柔道の保持力、ハンドボールの瞬間的な握り、ラケット競技の力を抜く感覚など、競技ごとに必要な使い方が違います。弱点になっている握り方を見つけ、必要な範囲で鍛えることが大切です。
まとめ
握力と手首を鍛えるときは、ハンドグリップだけに答えを求めないことが大切です。握り込む、つまむ、保持する、指を開く、手首を曲げ伸ばす。これらを目的に合わせて組み合わせると、筋トレ握力の内容がかなり具体的になります。
- 握力は握り込み、つまみ、保持を分けて考える
- ハンドグリップは握り込む力を鍛えやすい
- 器具なしならグーパーやタオル絞りから始める
- 手首は曲げる、反らす、回す動作も鍛える
- 柔道とハンドボールでは必要な握力の使い方が違う
- 毎日限界まで行わず競技練習を含めて疲労を見る
- 痛みやしびれがある場合はトレーニングを中止する
私が選手を見るときも、握力計の数字だけでメニューを決めません。実際にどの場面で手が負けるのか、道具や相手をどう握っているのか、次の練習に疲労が残っていないかまで確認します。
あなたが欲しいのは「握力が強い人」という肩書きではなく、競技の必要な場面で手と前腕が仕事をしてくれる状態ではないでしょうか。その視点で器具と方法を選べば、ハンドグリップもダンベルも器具なしトレーニングも、必要な役割がはっきりしますよ。