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サッカーのピリオダイゼーション|年間計画とレイモンド理論を解説

こんにちは、アスリートの知恵袋のバラです。

サッカーのピリオダイゼーションを考えるとき、私は「何月は筋肥大、何月は最大筋力、何月はパワー」と先に期分けを決めることから始めません。サッカーは週末の試合、平日の戦術練習、スプリント、筋力トレーニングが同時に進む競技だからです。

フィジカルコーチとして選手を見ると、スクワットの重量やスプリントタイムだけを追っても、試合後半にプレスへ戻れない、サポートの一歩が遅れる、球際の動きを繰り返せない、といった問題をそのまま解決できるとは限りません。まず考えたいのは、その能力が試合中のどのプレーを支えるのかという順番です。

この記事では、一般的な期分けの考え方を土台にしながら、サッカーでは年間計画をどのように組み立てるのか、週1試合なら負荷をどこへ置くのか、そしてレイモンド・フェルハイエンのフットボール・ピリオダイゼーションをどう理解すればよいのかまで、現場目線で解説します。

この記事でわかること

  • サッカーにおけるピリオダイゼーションの考え方

  • 年間計画を試合日程から作る方法

  • 週1試合を想定した具体的なメニュー配置

  • レイモンド・フェルハイエン理論の特徴と注意点

コンテンツ

サッカーのピリオダイゼーションとは

まず押さえたいのは、ピリオダイゼーションが単なる「年間予定表」ではないことです。一般には、長期・中期・短期の期間へ計画を分け、目的に合わせてトレーニング量、強度、頻度、内容、回復を変えていく考え方を指します。

基本から確認したい方は、先にピリオダイゼーションと年間計画の基本を読んでおくと、この先が分かりやすくなります。

サッカーでは試合が計画の中心になる

陸上や競泳のように、年間の特定大会へ大きなピークを合わせやすい競技と、リーグ戦が続くサッカーでは計画の形が変わります。サッカーではシーズン中、毎週のように試合が入り、カップ戦や連戦が重なることもあります。

そのため、年間を大きな流れで見るだけでは足りません。実際の現場では、試合→回復→トレーニング負荷→戦術調整→次の試合という短い循環を何度も繰り返します。

サッカーのピリオダイゼーションで中心になるのは「次の試合で発揮すること」と「シーズンを通して成長すること」の両立です。

年間計画が地図だとすれば、毎週の計画は実際に進む道順です。地図だけを作っても、試合日が変更されたり、出場時間が変わったり、選手に疲労が出たりすれば、その週の道順は変えなければなりません。

フィジカルだけを別枠で考えない

サッカー選手の負荷は、筋力トレーニングだけで決まりません。戦術練習、対人練習、ゲーム形式、スプリント、ジャンプ、試合、移動まで身体へ影響します。

例えば水曜日に高強度のゲーム形式を行い、その直後に下半身の高負荷スクワットを入れ、翌日にスプリントを大量に行えば、各メニューを単独で見ると妥当に見えても、合計した負荷は大きくなることがあります。

だから私は、競技練習+筋力トレーニング+スプリント+試合を一つの総負荷として見ることを大切にしています。筋トレの計画だけをきれいに作るより、チーム全体の1週間を見た方が実践では役立ちます。

サッカー選手の試合日程と疲労を考えながらピリオダイゼーション計画を見直す日本人コーチ
年間計画は固定せず、試合日程や選手の状態に合わせて見直します

年間計画は試合日程から作る

サッカーの年間計画を作るときは、まず「いつ何を鍛えるか」ではなく、「いつ試合があり、どの試合を特に重視するか」を確認します。その上で、オフ、プレシーズン、リーグ戦、過密日程、重要試合、シーズン終了後へ大きく分けると考えやすくなります。

一年を固定した月割りにしない

年間計画では、マクロサイクル、メゾサイクル、ミクロサイクルという時間の層を使います。詳しい違いはマクロ・メゾ・ミクロサイクルの解説で紹介しています。

時間の層 サッカーでの考え方 主な役割
マクロサイクル シーズン全体 大会日程と大きな方向を決める
メゾサイクル 数週間程度 重点課題と負荷の流れを決める
ミクロサイクル 通常は1週間前後 試合から逆算して日ごとの負荷を配置する

例えば「8月は筋力、9月はパワー、10月は持久力」と完全に分けてしまうと、9月に公式戦が毎週あるチームでは扱いにくくなります。試合期でも筋力は必要ですし、スプリント刺激を止めれば、その能力を使う機会が減ってしまいます。

そこで実際には、年間で重点を変えながらも、必要な能力を完全には消さず、試合との関係を見て量を変えていきます。特に長いリーグ戦では、「どの能力を今伸ばすか」と「どの能力を維持するか」を同時に考えることが欠かせません。

一般的な期分けとの違い

一般的なピリオダイゼーションでは、準備期にトレーニング量を確保し、その後に強度を高め、重要大会へ向けて疲労を減らす流れがよく使われます。この考え方はサッカーでも土台になります。ただし、リーグ戦が始まると「準備が終わったから能力向上は終了」とはできません。

サッカーでは試合をしながら、筋力、スプリント、方向転換、高強度運動の反復といった能力を維持・向上させる必要があります。そこで、数か月単位の期分けだけでなく、1週間の中で負荷を上下させる発想が重要になります。

また、線形、非線形、ブロックといったモデル名だけで年間計画を決める必要もありません。プレシーズンでは数週間かけて段階的に負荷を高め、シーズン中は試合に合わせて週内で負荷を変え、特定の課題へ短期間だけ重点を置くこともあります。つまり、現場では複数の考え方を目的に合わせて使い分ける方が自然です。

「どのモデルを採用するか」より先に、試合日程、選手の課題、競技練習の量を確認します。モデルは選手を当てはめる型ではなく、負荷を考えるための道具です。

サッカーの年間計画例

一般的な流れをサッカーへ当てはめると、次のような考え方になります。期間の長さはチームの日程で変わるため、月数を固定したテンプレートとして使うものではありません。

時期 主な目的 フィジカル面の考え方
オフ・移行期 心身の回復 完全休養と軽い運動を組み合わせ、次の準備へ移る
プレシーズン前半 練習量へ戻す 筋力、走行量、基本的なスプリント刺激を段階的に増やす
プレシーズン後半 試合要求へ近づける ゲーム形式と高強度アクションを増やし、疲労を残しすぎない
シーズン序盤 試合と成長を両立 週内で負荷を上下させながら能力を高める
シーズン中盤 維持と課題改善 出場時間やポジションに応じて個別化する
過密日程 回復を優先 追加トレーニングを減らし、試合そのものを主要負荷として扱う
重要試合前 疲労を減らす 量を減らしながら速度や試合感覚を保つ

競技によって年間計画がどう変わるのかを比べたい場合は、競技別ピリオダイゼーションの実践例も参考になります。サッカーのような球技では、試合自体が大きな負荷になる点が特に重要です。

週1試合のメニューを考える

試合から逆算したサッカーの週間計画でスプリントトレーニングを行う選手
試合から逆算したサッカーの週間計画でスプリントトレーニングを行う選手

年間計画を現場で使える形にするには、最終的に1週間へ落とし込みます。ここでは日曜日に試合があるチームを例にします。もちろん、同じ形を全チームへ当てはめるものではありません。

試合から遠い日に負荷を置く

プロサッカー選手を1シーズン追跡した研究では、試合以外のトレーニング負荷はMD-4とMD-3で高く、MD-2、MD-1と試合へ近づくにつれて下がる傾向が報告されています。試合日をMDと表し、MD-1は試合1日前、MD-3は試合3日前という意味です。

この研究は、試合へ向けた負荷配置を考える一つの実践的な参考になります。詳しく確認したい方は、プロサッカー選手のフルシーズンを対象にした研究をご覧ください。

曜日 試合との関係 主な内容の例
日 MD 公式戦
月 MD+1 出場者は回復、非出場者は補完トレーニング
火 MD+2 休養または低負荷
水 MD-4 筋力、加速、ゲーム形式など比較的高い負荷
木 MD-3 サッカーコンディショニング、高強度アクション
金 MD-2 戦術確認を中心に負荷を下げる
土 MD-1 短時間の活性化、セットプレー、最終確認
日 MD 公式戦

ポイントは曜日名ではなく、試合から何日前かです。土曜日が試合なら1日ずつ前へずらしますし、水曜日にも試合が入るなら、この1週間モデルそのものを作り直します。

◆バラのワンポイントアドバイス
筋トレ日だけを先に決めるより、最初に試合日と競技練習の負荷を書き込み、その空いている場所へ筋力やスプリントを入れる方が失敗しにくいです。特に下半身の高負荷トレーニングと高強度ゲームが連日にならないかは必ず確認します。

出場者と非出場者を分ける

同じチームでも、前の試合で90分出場した選手と、出場がなかった選手では、次の週へ持ち越す負荷が違います。全員へ同じ回復メニューだけを行うと、非出場選手はシーズンが進むほど試合相当の刺激が不足することがあります。

そのためMD+1では、出場時間の長い選手は回復を優先し、出場時間の短い選手にはゲーム形式やランニングなどで不足した負荷を補う方法があります。逆に、前の試合で長時間出た選手へ同じ追加負荷を与えると、次の高負荷日に影響する可能性があります。

チーム単位のメニューを作っても、最後は出場時間、ポジション、年齢、トレーニング歴、痛みや疲労によって調整する必要があります。

サッカーの試合後を想定し、学生アスリートの疲労と回復状態を確認するコーチ
試合後は出場時間や疲労に合わせて回復と追加負荷を分けます

筋力とスプリントをどう入れるか

サッカーのピリオダイゼーションを「ボールを使う練習だけ」と理解すると、筋力トレーニングやスプリントが抜け落ちます。私の考えでは、ウェイトトレーニングもスプリントも必要です。ただし、それ自体を最終目的にしません。

筋力はプレーを支える土台にする

スクワットやヒンジ系種目で下半身の力を高めることは、加速、減速、ジャンプ、接触への対応を支える一要素になります。ただ、スクワットの重量が上がっただけでサッカーのプレーが自動的に良くなるわけではありません。

私は「スクワットを何kgにするか」より前に、「試合でどの動きを何度繰り返す必要があるか」を見ます。そこから必要な筋力、パワー、スプリント能力を考え、さらに競技練習との重なりを見ながら量を決めます。

筋力トレーニング側の期分けを詳しく知りたい場合は、筋トレのピリオダイゼーションと筋力向上の組み方で、筋肥大・最大筋力・パワーのつなげ方を解説しています。

サッカー選手の走力向上をイメージしたグラウンドでのスプリントトレーニング
スプリントも単独で考えず、試合で必要な高速アクションへつなげます

スプリント刺激を完全に消さない

試合が続くと疲労を恐れて高速走を避けたくなりますが、スプリント能力を使う機会まで長く減らしてしまうのは別の問題です。試合で高速走が求められる選手には、週内のどこかで適切な高速刺激を確保する必要があります。

ただし、スプリントの本数や距離は固定しません。試合で十分な高速走を行った選手、出場が少なかった選手、ハムストリングに不安がある選手では条件が違うからです。

スプリント、ジャンプ、高重量トレーニングは、選手の経験や既往歴によって適切な量が変わります。数値は一般的な目安として扱い、痛みや体調に問題がある場合は実施を優先しないでください。

レイモンド理論の考え方

ここからは、検索されることの多いレイモンド・フェルハイエンのフットボール・ピリオダイゼーションを見ていきます。一般的な「準備期→試合期→移行期」という期分けと重なる部分はありますが、同じものとして扱うと理解しにくくなります。

サッカーから体力を考える

フェルハイエンの考え方を短く表すなら、体力からサッカーへ向かうのではなく、サッカーから必要な体力を考えるという順番です。

例えば、試合後半に相手のカウンターへ戻れない選手がいたとします。このとき「持久力不足」と決めつけ、全員へ長距離走を追加するだけでは、その現象を十分に捉えられません。

そもそも戻るべきタイミングを判断できていたのか、味方との連動はできていたのか、最初の一歩を出せていたのか、同じ高強度アクションを何度も行った結果として動けなくなったのか。サッカーの現象から見ると、確認する点は増えます。

フェルハイエンが体系化した考え方は、現在も本人が運営するFootball Coach Evolutionで更新されています。原著や現在の考え方を確認したい場合は、Football Periodisation 2.0の公式情報が一次情報として参考になります。

『Football Periodisation, Part 1』などの専門書を読むと、短い紹介記事だけでは分かりにくい用語や考え方まで確認できます。日本語で断片的な説明だけを見るより、理論の前提を把握してから現場へ取り入れましょう。

能力を上下ではなくつながりで見る

フェルハイエンの体系では、チーム内のコミュニケーション、ゲームの理解、技術的な実行、そしてそれを繰り返すためのサッカー体力というつながりでプレーを捉えます。

プレスを例にすると、10mのダッシュが速いだけでは成立しません。誰が出るのか、味方がどう連動するのか、相手のどのタイミングへ反応するのかを判断し、その上で素早く移動する必要があります。

つまりフィジカルは重要ですが、フィジカルだけを競技から切り離して評価しないということです。この視点は、フィジカルトレーナーが技術・戦術スタッフと共通言語を持つうえでも役立ちます。

◆バラのワンポイントアドバイス
私は「そのトレーニングが試合のどのアクションを支えるのか」を説明できるようにする考え方が重要と考えています。筋力やスプリントを否定するわけではありませんが、ボディメイクや陸上競技と違って球技などでは対戦相手がいることを最初に考えなくてはいけません。

フェルハイエンの6週間モデル

フェルハイエンのフットボール・ピリオダイゼーションでは、代表例として6週間を一つの流れとして扱い、ゲーム形式やサッカーコンディショニングの負荷を段階的に変えていく考え方が知られています。

大人数から小人数へ進める

一例では、最初の2週間は11対11や8対8のような人数の多いゲーム、次の2週間は7対7や5対5前後、最後の2週間は4対4や3対3のような人数の少ないゲームへ進めます。

週 ゲーム形式の例 主な狙い
1〜2週 11対11・8対8 広い状況でサッカーの行動量を確保する
3〜4週 7対7・6対6・5対5 アクションの頻度を高める
5〜6週 4対4・3対3 短い時間で高頻度のアクションを求める
次周期 再び大人数から開始 前周期より一段進める

ここで大切なのは「3対3をすれば高負荷になる」と単純に覚えないことです。コートの広さ、ルール、休息時間、ボールの数、コーチング内容で要求は変わります。同じ人数でも設計次第で走行距離も加速・減速の頻度も変化します。

また、6週間で完成するわけでもありません。6週間を繰り返しながら、選手の適応や試合内容に応じて次の周期へ進めます。固定プログラムをコピーするというより、目的に合わせて刺激と回復を繰り返す枠組みとして理解する方がよいでしょう。

プレシーズンだけの方法ではない

「6週間モデル」と聞くと、プレシーズンの6週間だけで体力を完成させるように感じるかもしれません。しかし、フェルハイエンの考え方は、シーズン中も選手とチームを発達させ続けることを重視します。

そのため、シーズンが始まったら能力を維持するだけ、という発想ではありません。毎週の試合へコンディションを合わせながら、その中で次の課題へ進みます。

もちろん日本の高校・大学サッカーでは、練習日数、授業、施設、スタッフ数、公式戦日程が海外プロクラブとは違います。だからモデルをそのまま移植するのではなく、自分たちの環境へ合わせる必要があります。

蓄積疲労をどう扱うか

フェルハイエンの理論を理解するうえで外せないのが、疲労をため続けないことです。トレーニングは刺激を与えれば終わりではなく、回復して適応し、次の試合で発揮できて初めて意味を持ちます。

練習量を増やせば良いわけではない

「走れないから走る」「当たり負けするから筋トレを追加する」という対応は分かりやすい反面、すでに競技練習の負荷が高い週では逆効果になることがあります。

必要なのは、メニューを足す前に現在の1週間を見ることです。試合で何分出たのか、どの日に高強度ゲームを行ったのか、筋力トレーニングはどれくらい行ったのか、睡眠や痛みはどうか。そこまで見て、追加すべきか、減らすべきかを決めます。

私はこれを「たくさん練習する」から「より良い練習をする」へ変える考え方として捉えています。量を増やすことではなく、必要な刺激を必要な日に置き、回復する時間まで含めて一つのトレーニングと考えます。

サッカーの週間負荷を想定し、トレーニング記録を見ながらコーチと内容を確認する日本人アスリート
記録を残すと、競技練習と筋トレを合わせた負荷を振り返りやすくなります

過密日程では発想を変える

週2試合になると、週1試合のようにMD-4、MD-3へ高い負荷を置く余白がなくなります。日曜日に試合をして水曜日にも試合があるなら、月・火は次戦へ向けた回復と準備の時間になりやすく、追加の高負荷トレーニングを入れる余地は小さくなります。

このとき「今週は筋力トレーニングができていない」と焦って無理に追加するより、試合そのものを高負荷刺激として扱う判断も必要です。非出場者には不足分を補い、出場者には回復を優先する。チーム全員を一つのメニューへ揃えないことが大切です。

過密日程では「何を追加するか」より「何を削るか」が重要になる場面があります。トレーニング量を減らすことは後退ではなく、次の試合で発揮するための調整です。

戦術的ピリオダイゼーションとの違い

「サッカーのピリオダイゼーション」と検索すると、タクティカル・ピリオダイゼーション、戦術的ピリオダイゼーションという言葉も出てきます。ここは混同しやすいところです。

同じ理論として扱わない

レイモンド・フェルハイエンのFootball Periodisationと、ヴィトール・フラーデに由来するTactical Periodizationは同じ体系ではありません。

戦術的ピリオダイゼーションは、監督が目指すゲームモデルやプレー原則を中心にトレーニングを組み立てる考え方として知られています。一方、フェルハイエンはサッカーという競技の構造から、戦術、ゲーム理解、技術、サッカー体力、回復を含めてトレーニング週を考えます。

両者には、フィジカル・技術・戦術を完全に切り離して考えないという共通点があります。しかし、成り立ちも方法論も異なるため、「ボールを使ったフィジカルトレーニングは全部同じ理論」とまとめない方が理解しやすいです。

日本の部活で取り入れる方法

理論が分かっても、週5〜6日活動する高校・大学の部活動へそのまま当てはめるのは簡単ではありません。授業、施設の利用時間、試験期間、遠征、選手数、指導者数まで影響するからです。

試合から一週間を逆算する

まず実施したいのは、週の全メニューを書き出すことです。サッカー練習だけでなく、筋力トレーニング、朝練、自主練、練習試合も含めます。

次に、高い負荷が連続していないかを確認します。水曜日に大きなゲーム形式、木曜日に高重量スクワット、金曜日に長い走り込み、土曜日に試合という並びなら、試合へ疲労を持ち越す可能性を考えます。

反対に、負荷を落としすぎて高速走や高出力動作がほとんどない週もあります。大切なのは「追い込むか休むか」の二択ではなく、何をどの日にどの程度行うかです。

筋トレ週2回なら役割を分ける

部活動で筋力トレーニングを週2回行うなら、両日を同じ内容にする必要はありません。週1試合なら、試合から遠い日に比較的高い負荷を置き、もう1日は量を抑えて動作の質やパワーを意識する方法が考えられます。

例えばMD-4にスクワットやヒンジを中心とした主要な筋力刺激、MD-2には量を抑えたジャンプや軽めの筋力刺激を置く、といった形です。ただし競技練習がMD-3で非常に高負荷なら、筋トレ側を調整します。

サッカー指導やコンディショニングの専門書を参考にするときも、掲載メニューをそのままコピーするのではなく、自チームの練習日程へ置き換えて考えてください。

毎週記録して翌週へつなげる

ピリオダイゼーションは、最初に作った計画を守り切る競技ではありません。試合内容、出場時間、主観的な疲労、痛み、練習の出来を見ながら修正します。

高価なGPSがなくても、練習時間、RPE、出場時間、筋トレ重量、スプリント本数、痛みの有無などを記録すれば、先週と今週を比べられます。

特に学生チームでは、睡眠不足や試験期間で同じメニューでも負担感が変わります。トレーニング計画は身体だけでなく、選手が置かれている生活環境まで含めて扱う方が現実的です。

◆バラのワンポイントアドバイス
年間表をきれいに作ることより、「今週の試合へ何を残し、何を伸ばすのか」をスタッフ間で共有できることの方が価値があります。計画を修正するのは失敗ではなく、選手に合わせている証拠です。

フィジカルトレーナーが見る要点

サッカーのピリオダイゼーションからフィジカルトレーナーが学べることは、単なる6週間メニューではありません。最も大切なのは、フィジカル能力を高めること自体を目的にせず、その能力が試合中のどの競技動作を支えるのかを先に考えることです。

プレーから逆算して能力を選ぶ

例えば「スプリントを速くしたい」という目標が出たら、なぜ速くする必要があるのかを掘り下げます。背後への抜け出しなのか、カウンター対応なのか、プレスバックなのかで、必要な距離や開始姿勢、判断の条件が変わります。

その上で筋力、加速、最高速度、反復能力などを考えます。これならスクワットの数値や30m走のタイムも、競技とのつながりを持った指標になります。

私が現場で避けたいのは、「数値が伸びたから成功」で止まることです。最終的には、その変化が試合でどのプレーへつながったのかを見たいところです。

総負荷として一週間を見る

サッカーの競技練習、筋力トレーニング、スプリント、試合を別々の担当者が管理していると、選手から見ればすべて身体への負荷なのに、スタッフ側では別々の計画になってしまうことがあります。

そこで週の初めに全メニューを並べ、どの日に脚への負担が集中するのか、試合前に疲労が残りそうか、非出場者へ必要な刺激が入っているかを確認します。

これができると、「もっと筋トレをした方がよい」「もっと走った方がよい」という議論から、「この試合へ向けて、今週は何をどこへ置くか」という話へ変わります。

サッカーのピリオダイゼーションFAQ

最後に、サッカーのピリオダイゼーションを実践するときによく出る疑問へ答えます。

サッカーのピリオダイゼーションに関するよくある質問(FAQ)

Q1. サッカーのピリオダイゼーションとは何ですか?

A. 試合日程から逆算し、競技練習、筋力トレーニング、スプリント、回復などの負荷を時期ごとに配置する考え方です。年間計画だけでなく、毎週の試合へ向けたミクロサイクルが非常に重要になります。

Q2. 週1試合なら高負荷トレーニングはいつ行いますか?

A. 一般には試合から比較的遠いMD-4〜MD-3へ主要な負荷を置き、MD-2〜MD-1では量を下げる方法が使われます。ただし、前の試合の出場時間、次の試合までの日数、競技練習の内容によって変える必要があります。

Q3. レイモンド・フェルハイエンの理論では走り込みをしないのですか?

A. 「ランニングを一切しない」と単純化するのは適切ではありません。大切なのは、体力づくりをサッカーから切り離して目的化せず、試合で必要なアクションから必要な刺激を考えることです。スプリント系の刺激も理論の中に含まれます。

Q4. 戦術的ピリオダイゼーションと同じですか?

A. 同じ理論ではありません。フェルハイエンのFootball Periodisationと、ヴィトール・フラーデに由来するTactical Periodizationは別の体系です。フィジカル・技術・戦術を切り離しすぎない点では共通する部分があります。

Q5. 高校や大学サッカーでも使えますか?

A. 使えます。ただし、プロクラブの週間表や6週間モデルをそのまま当てはめるのではなく、授業、練習日数、施設、公式戦、選手の経験に合わせて変更してください。数値は一般的な目安として扱い、正確な情報は公式サイトをご確認ください。痛みやコンディションに関わる最終的な判断は専門家にご相談ください。

サッカーの年間計画まとめ

サッカーのピリオダイゼーションは、年間をきれいに区切ることが目的ではありません。試合日程を中心に、選手が次の試合で発揮できる状態を作りながら、シーズンを通して競技能力を高めていくための計画です。

  • 年間計画は試合日程から逆算する
  • マクロ・メゾ・ミクロの順で1週間へ落とし込む
  • 週1試合では試合から遠い日に主要負荷を置く
  • 出場者と非出場者では回復と追加負荷を分ける
  • 筋力・スプリント・競技練習・試合を総負荷として見る
  • フェルハイエン理論はサッカーから必要な体力を考える
  • 6週間モデルは固定メニューではなく段階的な発達の枠組みとして使う
  • 戦術的ピリオダイゼーションとは別の体系として理解する

フィジカルトレーナーとして私が一番大切にしたいのは、スクワットやスプリントの数値を伸ばして終わらないことです。その選手が試合でどんなプレーを、どの強度で、何度繰り返せるようになる必要があるのか。そこから逆算すると、筋力トレーニングもスプリントも回復も、サッカーの中で意味を持ちます。

計画は選手を縛る表ではありません。試合を見て、選手を見て、必要なら翌週に変える。その繰り返しこそが、サッカーでピリオダイゼーションを使う価値だと私は考えています。

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