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非線形ピリオダイゼーションの組み方|筋トレ実践例を詳しく解説

こんにちは、アスリートの知恵袋のバラです。

筋トレの計画を立てていると、「筋肥大を狙う期間が終わってから筋力、その次にパワー」と順番に進める方法だけでは、競技スケジュールに合わせにくいことがあります。

特に部活動やチームスポーツでは、週末に試合があり、平日にも強度の高い競技練習があります。その中で筋力、筋量、パワーをできるだけ維持・向上させようとすると、数週間ずっと同じ重量や回数で筋トレする方法では対応しにくい場面も出てきます。

そこで使える選択肢の一つが非線形ピリオダイゼーションです。

私がこの方法を使うときに一番大切にしているのは、単純に重量や回数を毎回変えることではありません。「なぜ今日この負荷を行うのか」を決めてから、その日の筋トレを配置することです。

筋力、筋肥大、パワーといった目的を週内に配置しながら、競技練習や試合を含めた疲労も考える。これが、非線形ピリオダイゼーションを実践するときの基本になります。

この記事でわかること

  • 非線形ピリオダイゼーションの基本的な仕組み

  • 週2回・週3回での具体的な負荷と回数設定

  • ベンチプレスへ応用するプログラム例

  • 競技練習と合わせて疲労を管理する方法

非線形ピリオダイゼーションとは

非線形ピリオダイゼーションは、筋トレの強度や反復回数、セット数などを比較的短い周期で変化させていく方法です。

例えば同じ週の中に「高重量・低回数の日」「中重量・中回数の日」「中〜低重量・高回数の日」を配置します。アスリートなら、さらにパワーを目的とした日を組み込むこともできます。

線形との違い

線形ピリオダイゼーションでは、数週間から数か月かけて負荷を一方向へ変えていくのが基本です。

例えば最初の4週間を10回前後、その次を6〜8回、その後を3〜5回とし、少しずつ重量を上げながら反復回数を減らしていきます。

一方、非線形では同じような変化をもっと短い周期で作ります。

モデル 負荷を変える期間
線形 数週間〜数か月 10回期→8回期→5回期
非線形 日〜週単位 5回の日→10回の日→6回の日

どちらが常に優れているという話ではありません。競技日程や選手の経験、目標に合わせて使い分けます。

DUPとWUPの違い

非線形ピリオダイゼーションには、日ごとに負荷を変えるDUPと、週ごとに変えるWUPがあります。

DUPは「Daily Undulating Periodization」の略で、1週間の筋トレ日ごとに刺激を変化させる方法です。

例えば月曜日を筋力、水曜日を筋肥大、金曜日を中強度というように設定します。

WUPは「Weekly Undulating Periodization」の略で、1週目は高回数、2週目は高強度、3週目は中強度というように週単位で波を作ります。

筋トレを週2〜3回行える場合は、DUPの考え方を取り入れると週内の負荷を調整しやすくなります。

ただし、DUPだから優れている、WUPだから効果が低いという単純な比較ではありません。実際の競技スケジュールへ無理なく当てはめられる方法を選ぶことが優先です。

研究ではどう考えるか

2022年のシステマティックレビューとメタ解析では、トレーニング量をそろえた条件において、線形型と起伏型では筋肥大に明確な差は認められませんでした。一方、1RMによる最大筋力では起伏型が有利となる結果があり、特にトレーニング経験者でその傾向が確認されています。

ただし、2026年に発表されたACSMのポジションスタンドでは、ピリオダイゼーションを含む多くの細かな処方変数はトレーニング成果へ一貫した影響を示さなかったとされています。

つまり、非線形ピリオダイゼーションを使えば自動的に筋力や筋量が伸びるわけではありません。

筋力を高めるなら高い負荷を扱うこと、筋肥大を狙うなら必要な週間トレーニング量を確保すること、パワーなら適切な負荷を速く動かすこと。その基本を満たした上で、刺激をいつ配置するかを考える方法として非線形型を使います。

(出典:Sports Medicine「Effects of Periodization on Strength and Muscle Hypertrophy」

筋トレへの組み方

ここからは、実際に非線形ピリオダイゼーションを筋トレへ取り入れる方法を見ていきます。

いきなり曜日ごとの重量を決めるのではなく、先に「その日に何を高めたいのか」を決めるのがポイントです。

最初に目的を決める

例えば週3回トレーニングするのであれば、筋力、筋肥大、中強度またはパワーという3種類の目的を設定できます。

目的 負荷の目安 回数の目安 セット
筋力 80〜90%1RM前後 3〜5回 3〜5
中強度 70〜80%1RM前後 5〜8回 3〜4
筋肥大 65〜75%1RM前後 8〜12回 3〜4
パワー 30〜70%1RM前後 2〜5回程度 3〜5

これらはあくまで一般的な目安です。同じ70%1RMでも実際にできる回数には個人差がありますし、種目によっても変わります。

特にパワーの日は、単純に軽い重量で高回数を行う日ではありません。疲れて動作速度が落ちるまで繰り返すのではなく、一回一回を速く、質の高い動作で行うことが中心です。

週3回なら三段階にする

最も分かりやすい形は、高強度、中〜低強度、中強度というように週内で負荷を変える方法です。

曜日 目的 負荷 回数 セット
最大筋力 82〜88%1RM 3〜5回 3〜5
筋肥大 65〜75%1RM 8〜12回 3〜4
中強度 72〜80%1RM 5〜8回 3〜4

月曜日の高重量で筋力への刺激を入れ、水曜日は重量を下げて反復回数を確保します。土曜日には両者の中間程度の負荷を置く形です。

曜日の順番は固定ではありません。競技練習が火曜日に非常にハードなら、月曜日に下半身の高重量を入れることが適切とは限りません。

◆バラのワンポイントアドバイス
週の表を作るときは、筋トレだけを見ないようにしています。競技練習、スプリント、試合、筋トレを全部並べてから、「この高重量日はここに置いて大丈夫か?」と考えるほうが実践的ですよ。

週2回でも実施できる

部活動では全体で筋トレできる日が週2回しかないケースも多いと思います。

その場合は、無理に3種類の刺激を入れる必要はありません。

曜日 目的 負荷 回数 セット
筋力 80〜88%1RM 3〜5回 3〜4
筋肥大・量 65〜75%1RM 8〜12回 3〜4

これだけでも週内で負荷と反復回数は変化しています。

競技練習の中にジャンプやスプリントが十分入っている選手なら、筋トレの日にさらにパワー種目を大量に追加する必要がない場合もあります。

非線形ピリオダイゼーションは、項目を増やすための方法ではありません。必要な刺激を限られた時間へ配置するために使います。

週3回の具体的なメニュー

実際の筋トレメニューへ落とし込んでみます。

高強度の日

高強度日の例

バックスクワット:85%1RM×4回×4セット

ベンチプレス:85%1RM×4回×4セット

ローイング:6〜8回×3セット

非線形ピリオダイゼーションの高強度日に補助者付きでベンチプレスを行う男性
高強度日は低回数で質の高い反復を行い、最大筋力への刺激を狙います

筋肥大の日

筋肥大日の例

バックスクワット:70%1RM×8〜10回×3セット

ベンチプレス:70%1RM×8〜10回×3セット

ルーマニアンデッドリフト:8〜10回×3セット

プル系種目:8〜12回×3セット

筋肥大を狙う場合は、1日のメニューだけでなく週間の総セット数を見ることが重要です。

(出典:American College of Sports Medicine「Resistance Training Prescription」2026

中強度の日

中強度日の例

バックスクワット:75〜80%1RM×5〜7回×3セット

ベンチプレス:75〜80%1RM×5〜7回×3セット

片脚種目:6〜8回×3セット

ローイング:6〜8回×3セット

パワーの日へ変更する

種目 回数 セット 意識すること
ボックスジャンプ 3〜5回 3〜5 高さより動作の質
ハングクリーン 2〜4回 3〜5 素早い力発揮
ジャンプスクワット 3〜5回 3〜4 速度低下前に終了
非線形ピリオダイゼーションのパワー日にボックスジャンプを行う日本人アスリート
パワーの日では疲労させることより、一回ごとの速度と動作の質を優先します

ベンチプレスへの組み方

1RM100kgの実践例

曜日 目的 重量例 回数 セット
筋力 85kg 4回 4
筋肥大 70kg 8〜10回 3
中強度 77.5kg 6回 3〜4

同じベンチプレスでも筋力、トレーニング量、中程度の負荷という異なる刺激を1週間に配置できます。

毎週少しずつ進める

筋力日 筋肥大日 中強度日
1週目 82.5kg×4回 67.5kg×10回 75kg×6回
2週目 85kg×4回 70kg×10回 77.5kg×6回
3週目 87.5kg×3回 72.5kg×8回 80kg×5回
4週目 量を減らす 量を減らす 量を減らす

「筋力の日は筋力の日」「筋肥大の日は筋肥大の日」という目的を保ったまま、重量や回数を進めます。

競技練習と組み合わせる

アスリートに非線形ピリオダイゼーションを使うなら、ここが最も重要です。

筋トレだけを見てプログラムを完成させないこと。

競技練習、スプリント、ジャンプ、対人練習、試合なども身体へ負荷を与えています。筋トレだけ完璧でも、それ以外の負荷と重なれば選手は回復できません。

先に一週間を見渡す

曜日 競技予定 筋トレの考え方
回復・軽い練習 必要なら休養
高強度練習 高負荷をまとめる選択
技術練習 筋肥大または中強度
高強度練習 パワーを組み合わせる
試合前調整 原則として量を抑える
試合 試合を最優先
休養 回復

試合から逆算する

例えば土曜日が試合なら、金曜日に下半身を高回数で追い込む必要性は低いでしょう。

曜日を先に固定するのではなく、試合から逆算して高負荷日を配置することが大切です。

負荷が高い日を把握する

全力スプリント、連続ジャンプ、激しい対人練習、長時間のゲーム形式なども大きな負荷になります。

そこへ高重量スクワットを追加すると、筋トレ単独では問題のない量でも、週全体では負荷が大きくなりすぎるかもしれません。

◆バラのワンポイントアドバイス
私なら「筋トレは週2回だから少ない」とは考えません。競技練習を含めて選手が一週間に何回大きな刺激を受けているかを見ます。非線形型は、この全体を見ながら負荷を動かせるところに価値があります。

競技練習と筋トレの負荷を確認しながら非線形ピリオダイゼーションを見直す日本人コーチ
筋トレだけでなく競技練習や試合を含めて一週間の負荷を確認します

総量と疲労を管理する

週間セット数を見る

非線形型へ変更したことで、知らないうちに週間セット数まで減っていないか確認します。

逆に競技練習量が増えている時期なら、意図的に筋トレ量を減らす判断はあり得ます。

大切なのは、減ったことを把握したうえで減らしているかどうかです。

RPEで当日調整する

%1RMで予定を作っていても、睡眠不足や前日の練習、試合による疲労などで、その日の能力は変化します。

「今日は85%の日だから何があっても85%」という運用は、非線形ピリオダイゼーションの目的とは合いません。

数値は計画を作るための目安であり、選手の状態を無視するためのルールではありません。

トレーニングを記録する

重量、回数、セット数に加えてRPE、体調、競技練習の内容などを記録すると、負荷調整へつなげやすくなります。

重量・回数・RPEを書き込めるトレーニングノートを一冊決めて使う方法でも十分です。

非線形ピリオダイゼーションの重量や回数をコーチとトレーニングノートで確認する日本人アスリート
重量・回数・主観的な疲労を記録すると次の負荷調整へつなげやすくなります

よくある失敗

毎回ランダムに変える

非線形の「変化」はランダムという意味ではありません。

筋力の日、筋肥大の日、パワーの日という役割を作り、それぞれの刺激を計画的に配置します。

何を変えるかより、なぜ変えるのかを先に決める。これが最も重要です。

毎回限界まで行う

高強度日も筋肥大日も毎回限界まで反復すると、負荷の種類は変わっていても疲労は高いままです。

筋トレ単独で最大限に追い込むことより、週全体で必要な刺激を確保することを優先してください。

重量だけで判断する

重量だけでなく、回数、セット数、種目数、休息時間まで合わせて見ます。

競技練習を無視する

フィジカルコーチとして最も避けたいのが、ウエイトルームの中だけでプログラムを完成させることです。

非線形型なら予定を変更してはいけないのではなく、目的を守りながら現実に合わせて負荷を動かすことが大切です。

初心者へ複雑にしすぎる

トレーニングを始めたばかりの選手は、負荷を細かく波打たせる前に、基本動作を安定させることが優先です。

特に成長期の学生選手では、身体の発達、技術習熟度、競技練習量を考慮し、適切な指導者のもとで負荷を設定してください。

プログラムの見直し方

4〜8週を目安に評価する

4〜8週間程度を一つの区切りとして、主要種目の重量、回数、動作の質、競技パフォーマンス、疲労などを確認します。

期間そのものを絶対的なルールにする必要はありません。

進歩があるか確認する

筋力の日なら同じRPEで重量が上がったか、同じ重量で反復回数が増えたかを確認します。

筋肥大の日なら必要なセット数を継続できているかを見ます。

パワーの日なら重量を増やすだけでなく、動作速度やジャンプの質が維持できているかを確認してください。

疲労があれば量を下げる

筋トレの数字が伸びていても、競技練習で動けなくなっているのであれば、プログラム全体を見直す必要があります。

◆バラのワンポイントアドバイス
非線形ピリオダイゼーションの良さは、毎回違うトレーニングができることではありません。選手の状態や競技予定に合わせて「今必要な刺激」を配置しやすいことだと私は考えています。

非線形ピリオダイゼーションに関するよくある質問

非線形ピリオダイゼーションのFAQ

Q1. 非線形ピリオダイゼーションは週何回からできますか?

A. 週2回からでも取り入れられます。1回を高強度・低回数、もう1回を中程度の負荷・高回数とする方法があります。

Q2. 毎回重量を変えれば非線形になりますか?

A. 単純にランダムで重量を変えるだけでは十分ではありません。各日の目的を決め、その目的に合わせて重量、回数、セット数を変えることが大切です。

Q3. ベンチプレスだけでも使えますか?

A. 使えます。例えば週3回なら、高重量3〜5回の日、中重量8〜12回の日、その中間となる5〜8回の日を配置できます。

Q4. 線形より非線形のほうが筋肥大しますか?

A. 非線形型のほうが必ず筋肥大するとは言えません。筋肥大では必要なトレーニング量や漸進的な負荷を確保することが重要です。

Q5. 何週間続ければいいですか?

A. 4〜8週間程度を評価の区切りにする方法がありますが、固定する必要はありません。重量の伸び、動作の質、疲労、競技日程を確認しながら判断します。

非線形の組み方まとめ

非線形ピリオダイゼーションは、筋トレの強度、回数、セット数などを週内や短い周期で変化させる方法です。

週3回なら「高強度・低回数」「中〜低強度・高回数」「中強度・中回数」といった形を作れます。アスリートなら3日目をパワーの日へ変更する方法もあります。

ただし、本当に大切なのは負荷を変えることそのものではありません。

筋力・筋肥大・パワーなど、その日の目的を明確にし、競技練習や試合を含めた総負荷と疲労を見ながら必要な刺激を配置すること。

これがフィジカルコーチとして非線形ピリオダイゼーションを扱うときに、私が最も大切にしている考え方です。

予定表に「85%×4回」と書いてあるから行うのではなく、「なぜ今日この負荷なのか」を説明できる状態にする。その視点があれば、非線形ピリオダイゼーションは競技と筋トレをつなぐ使いやすい手段になります。

この記事で紹介した負荷、回数、セット数は一般的な目安です。トレーニング経験、年齢、競技種目、フォーム、体調によって適切な設定は異なります。痛みや既往歴がある場合や、高重量トレーニングに不安がある場合は自己判断で無理に行わず、医療・トレーニングの専門家へ相談してください。

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